ジオン注射(ALTA療法)

ジオン注射(ALTA療法)とは

ジオン注射

従来は手術でしか治すことができなかったいぼ痔を、注射のみでの治療を可能にしたのがジオン注射(ALTA療法)です。ジオン注射はジオンを痔核に直接注射するだけの硬化療法ですが、従来であれば手術が必要だと判断されるケースでも、手術と同程度の治療効果を得られることが数々の症例で証明されています。

切開による痛みもなく、注射だけなので日帰りでの治療が受けられます。実際に人知れずいぼ痔に悩んできた患者さまにもそうした手軽さが好評で、身体的そして精神的負担が軽減されることから、手術に変わる治療方法として広く普及してきています。平成17年5月からは医療保険が適用されていますので、当院へお気軽にお問い合わせください。

ジオン注射(ALTA療法)の流れ

step1

最初に麻酔をかけます。局所麻酔か腰椎麻酔という方法で行います。

step2

麻酔が効いてきたら、1つの痔核を4ヵ所に分割して局所注射する四段階注射法という方法で、ジオン注射を実施していきます。麻酔も含め、治療の所要時間は約30分で、分割する箇所はそれぞれ上極部粘膜下層、中央部粘膜下層、中央部粘膜固有層、下極部粘膜下層の4ヶ所に分けられます。

step3

治療後はしばらくすると出血が止まって、脱出も軽くなっていきます。脱出が見られなくなるまでの期間は個人によっても差がありますが、だいたい1週間から1ヶ月程度が目安となります。

こうした四段階注射法に加えて、肛門の皮膚部分にも腫れが見られるケースでは、皮膚の部分にもジオン注射を行う五段階注射法という治療方法もあります。ジオン注射の導入当初は皮膚の部分には注射できないと考えられていましたが、一定量であれば可能であり、十分な効果が得られることが実証されてきました。そのため、粘膜部分だけでなく、皮膚の部分にも腫れがある患者さまにもジオン注射の治療が受けられます。

ジオン注射はこんな方におすすめ

診察風景

痔の治療に限らず、通院回数が多いのがなかなか厳しかったり、なにをされるのか不安で手術や治療後の痛みが怖いといった理由で、病院に苦手意識を持たれている患者さまもいらっしゃるかと思います。ジオン注射は「知人に気付かれたらと思うと肛門外科への通院自体が恥ずかしくて二の足を踏んでしまう」「できれば、会社や学校を休まないでこっそり痔を治したい」というような思いで治療をためらってしまっている方、人知れずいぼ痔の悩みを抱えている方にもおすすめの治療方法となっています。

いぼ痔は早期に治療できれば、お薬だけ、あるいは痛みのない注射による治療なので、日帰りで治療を受けられます。治療中や治療後の痛みがほとんどありません。座薬や軟膏を肛門に注入する治療では治らないいぼ痔にも、ジオン注射(ALTA療法)はとても効果的な治療法です。どうぞお早めにご相談ください。

もし「排便時によく出血する」「排便時に脱肛するが、時間が経つと自然に戻る」「排便時に脱肛し、指で押し込まないと戻らない」といった症状のお悩みを、患者さまのお気持ちに配慮しながら、ともに解決してまいりします。

術後の注意

ジオン注射の処置をしてから後2日ほどは、ご自宅で安静にしていただく必要があります。ジオン注射の治療自体は日帰りで受けることが可能ですが、副作用として注射を打った部分の痛みや腫れのほかに、発熱が起きたり、肛門部が重たく感じられるといったケースが考えられるからです。

また、痔核に注入された硫酸アルミニウムカリウムの排出を促進するために十分な水分摂取と、尿量の確保が大切なポイントです。硫酸アルミニウムカリウムは腎臓から尿中に排泄されていきます。水分摂取については手術前から留意する必要がありますが、事前にしっかりとご説明いたしますので、ご安心ください。

「術後が楽」なジオン注射

手術の後は、出血の予防、ジオン注射によって引き起こされた炎症を抑えるための注入軟膏をご使用いただきます。

当院の医師は多数のジオン注射(ALTA療法)の治療に携わってきた経験を持っています。どのような患者さまにも副作用をできる限り軽減するための処置を確実に実施して、治療に当たります。治療後は肛門付近への違和感や軽い痛みが現れる可能性はありますが、重篤な副作用を避ける処置を的確に実施しておりますので、ほとんどの場合、翌日には消失しています。アルミニウムの化合物を注入する治療ですので、懸念を持たれる患者さまもいらっしゃいますが、治療後に十分な水分補給をすることで約24時間以内に排泄されます。そのほか、気がかりな点やご不明点などありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

ジオン注射が受けられない方

妊娠中・授乳中の方や小児に加えて、次のような条件に当てはまる方はジオン注射による治療は受けられません。

  1. 透析を受けられている方
  2. 前立腺がんなどで放射線治療の既往をお持ちの方
  3. 潰瘍性大腸炎の方
  4. 嵌頓痔核の方
  5. 全身状態不良の方

ジオン注射のメリット・デメリット

メリット

手術による切開なく、注射だけで脱肛をともなう内痔核を治療できることが最大の特徴です。切開しないので当然、痛みや出血はより少なくなり、最大限に抑制されます。また治療期間が短く、入院の必要もないので、身体的・精神的な負担が軽減されます。お仕事や家事を長期に休む必要はありません。また入院費や仕事を休む必要ないことに加えて、保険適用の治療であることから、経済的負担も軽減されます。

デメリット

すべての脱肛する内痔核を治せる治療法ではありません。重度に進行している症例では手術が必要となったり、手術とジオン注射を併用する治療が望ましいケースも考えられます。約10%に再発を認めることもご留意ください。

また、ジオン(ALTA)を患部に注射する四段階注射法は、肛門外科であってもクリニックや病院によっては受けられない施設もあります。場所の見極めや注射の方法などをきめ細かく調整しながら行う難度の高い技術のため、ジオン注射の教育をしっかり受けた医師が在籍する医療機関のみが治療を行えるのです。他院さまで断られた患者さまも、ぜひ当院へご来院ください。

ジオン注射の費用

いぼ痔の手術は健康保険が適用されますので、3割負担の場合の費用をご紹介します。症状などにより費用は異なってきますが、おおよその目安としてご参考にしてください。

手術内容 手術費用
ジオン注射(ALTA療法) 約20,000円